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何故私が気を遣ってこっちから帰らなきゃならないんだ。
まだ正面の自動ドアは機能してはいなくて
横っちょのドアからこっそり抜け出す。
いや、だから、こっそりとか言うから
逃げてるみたいな感じになるんじゃないの。
もっと違う表現にして欲しいんだけど。
マジで。
同じ朝陽の筈なのに、なんとなくさっきよりも眩しくない。
いやいや、これからますます絶好調になってくるんだから
もっと眩しい筈なのに
「なんだょ、だからめんどくさいっつの」
誰かが好きとか、気になるとか
その対象に自分らしさを奪われてしまうような気がする。
今の私がいい例だ。
日常生活に支障出るじゃんね。
よく考えたら陣内なんて私より6つも若い小僧じゃん。
それなのにイカソーメン飛ばしといて、あっさりトンズラしやがって。
なーにが、「有馬さん、パンツあげて」だ。
テメェがあげろっての。
そりゃ男子はさ、ソーメン流しちゃえばおわりかもしんないけど
女子は掴み損ねたソーメン処理しなきゃなんないんだよ。
つい今さっき見た、陣内と黒塗りの車から一緒に下りてきた絵に描いたようなプリチーなガールを思い出し、けっ、と口を歪ませる。
「あんたなんか、キライよ」
コンクリートに向かって吐いたセリフは
そっくりそのまま自分に跳ね返ってきた。
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