カルテ7ー2

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「気に……なってない」 「有馬先生」 「と、言えば嘘になる」 勘解由小路さんがこっちを向いて、ニコリと笑ったそれを少しだけ遠慮の入ったものに変える。 「だけど……白石の世界は私には分からないし 首突っ込むのも違うと思うし…… だから、いい」 「有馬先生……なんて健気で可愛らしい……」 「は?」 勘解由小路はパジャマのポケットから徐にハンカチを取り出した。 「はぁ?」 目頭に当てる素振りをして俯き 「はぁあ?」 よよよ、と効果音が付きそうなぐらいしなだれた。 勘解由小路は完全にキャラが変更したんじゃないだろうか、と思われるくらいに ……鬱陶しい。 何が 健気で可愛らしい、だ。 どの口がそんな事を言うんだ!勘解由小路! 「そんなに岳杜さんの事を慕われ」 「うるさいし」 「はい」 この人はなんでブレイド、なんて呼ばれたんだろうか。 「ねぇ、なんで“ブレイド”だったの? さっぱりだわ、さっぱり」 「ああ、それですか」 ハンカチをいとも簡単にパジャマのポケットにしまい、またニコリと笑った勘解由小路さん。 「昔、そういう題名の映画がございまして 前社長がそこからお名前を」 ブレイド? ブレイド? そんな映画、あったんだ。 ってゆーか、映画なんて…… 映画館で見たのは小学生の頃夢のある青い猫型ロボットものを見たくらいだ。
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