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「ね、ブレイドさん、じ」
ブルブルと震えながら鳴り響く電子音。
「有馬先生、お電話です」
もうね、そんな見た目で真面目に“お電話です”とか
ギャグにしか見えない。
ブレイドさんを横目で流し見ながら電話に出た。
「はい」
『 有馬先生!ホットラインです!』
「分かった、戻ります」
立ち上がると同時に電話を切る。
「じゃあね、ブレイドさん」
「はい」
陣内の、何を聞こうと思ったんだろうか。
陣内が元気かどうか?
違う。
陣内と一緒にいたあのプリチーなガールは誰だ、と聞きたかったんだ。
だけど……
聞かなくてよかった。
自分で聞けばいい話じゃん。
休みがちとは言っても何日も来ない訳じゃない。
いざとなったら、家に行けば……
考えて頭を振った。
そ、そげな恥ずかしい事、出来ねー!
センターに着いて慌ただしい雰囲気にちょっと驚いた。
「あ、有馬先生!」
「なに、どしたの」
「〇×駅で無差別事件です!」
「は?」
『 搬送中の男性2名について、ひとりは腹部を2箇所刺され意識不明の重体です。
ひとりは背部刺傷、出血が多く危険な状態です』
なおも続くホットラインからの情報にみんなの準備の手が止まる。
「何が起きたんだ……」
「有馬先生!先生は後ろから刺された方担当して!」
「分かりました」
「なんかね、医者が乗ってるんだって」
「は?」
「たまたま、その現場にいたらしいよ?」
「へぇ」
そんな事ってあるんだな、と思いながら
救急車の到着を待った。
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