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「まだ、次の子も授かりたいよね……」
「そうですね。
まぁ、分かりませんけど」
案外シレッと言うんだな、と思った。
陣内の顔の殆どはマスクに覆われていて
いつも真面目腐りきったその瞳に感情なんて表れてない訳だから
何をどう考えてるか、なんてわからない。
自分は子供が欲しいという癖に……。
「引っ張って取れるとこまで取るかな。
出血見ながら」
「分かりました。
全部入り込んでたら、その時は開きましょう。
有馬さん、いきます?」
陣内が珍しくそんな風に尋ねてくる。
「あんたヤリたいの?」
「はい」
そう言って、足を開いたその前に立ちはだかった。
「引き出すのはオレが
その後、エコーはお任せしてもいいですか?」
陣内がそう言って早速とりかかる。
「胎盤出しますよー
ちょっと痛いですよー」
そんな爽やかに声をかけたけど
その程度で和らぐ痛みではない。
下手したら……出産より痛いのだ。
胎盤は赤ちゃんのベッド。
赤ちゃんが出てしまえば不要物に早変わりしてしまう。
いつまでも腹の中に残しておくわけにはいかない。
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