カルテ8ー3

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その日、陣内とそのままローテが合わず 先にタイミングが合ったのは、ボス。 「望絵」 「お疲れ様です」 「どうした」 「どうしたもこうしたも、ないんですが ……まぁ、ボスはきっと知ってても何も教えてくれないから、いい」 パタン、と閉めたドア。 シートベルトを引っ張ると、車は静かにエンジンを鳴らした。 「そんなことないぞ」 「なくないし」 軽く笑うボスにはもう騙されない。 「なんだ、言うだけ言ってみろ」 「いい、聞くだけ無駄だから」 それより肉を喰いたい、とボソリ呟く。 「飢えてるな……」 ボスと2人なのがなんとなく恥ずかしいのは 陣内とのことを知られているからだろうか。 ボスには何もかも知られてるのに、さらに 陣内とのことを知られているからか。 ややこし。 「ボス……」 「なんだ」 聞きたいことがあった。 「陣内はどんなヤツでしたか」 私と同じ路を辿ってきた“陣内”という男は どんなヤツだったんだろう、って 前から思っていた。
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