918人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょっと!あんた、バカも休み休み言いなさいよ!」
ハァハァと息も絶え絶えになって弱り切った加倉井さんの頭の上から少しだけ大きな声をかけた。
「聞こえてる?
聞こえてるわよね!
まったく最近の女子高生はどんな教育受けてるわけ!」
長い廊下を手早く静かに進みながら
声をかける。
意識を飛ばさない為だ。
「あんたね、陣内をなんだと思ってんのよ。
あいつはね、譲ったとしても絶対
あんたには着いて行かないわ
聞いてる?」
「ひどい……」
「酷いのはどっちだっつーの!」
弱々しい声。
「あんた間違ってるよ?
人生、おーまちがいだ」
「……は?」
「力を貸すのはあんたが元気になりたいと思うなら、よ!
喜んで貸すっての!
貸しまくってやるわよ!
病気にかこつけてバカなこと言ってんじゃないわよ!このバカ者!」
ほら、着いたよ!
ちょっとだけ乱暴に言い捨てて
「酸素1.5」
「はい!」
「それから心電図」
「はいっ」
「有馬っ」
先輩はここに勤務してんのかっての!
「先輩!
検査前なんだから、出歩くなんてもってのほかですよ」
「わりぃ、話は後だ、ちょい待ってて!」
はぁ、と溜め息を吐き出した。
……ホントは
ほんとは、物凄くショックを受けた。
だけど、ンな事は言えるはずもない。
最初のコメントを投稿しよう!