カルテ9ー2

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クソ代表ザルと陣内のそれは 二人の間のちょうど真ん中あたりでぶつかり合う。 「陣内っ!」 陣内のなにも掴んでいない方の掌を握って引いていた。 「陣内」 「なんですか、有馬さん」 クソ代表ザルはクソミソ、クソだけど さっきはそれだけじゃなかったの。 相変わらずひっくい声を放つ陣内の手をグイグイ、と引いて呼び寄せるもビクともしない。 「気分、悪い。 ね、陣内」 きっと、クソ代表ザルを庇うような発言をすると 怒りに怒りのかさが増すような気がする。 だから 言えない。 少しだけ俯いて、ゴクリと空唾を呑み込んだ。 「…大丈夫ですか」 低音が解除された音を聞いて少しだけホッとする。 「大丈夫じゃない」 「……行きましょうか」 陣内の身体に蔓延っていた勢いがなくなったのを感じた。 クソ代表ザルを掴んでいた掌が今度は私に添えられる。 急に静かになったトイレにドアの開閉音が響いた。 扉が閉まる前にチラリとクソ代表ザルに視線を飛ばす。 何がなんなのか、さっぱり分からない。 満足そうに笑った綺麗な顔に、嫌味な感じはどこにも見当たらなくて…… ちょっとだけ、困る。
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