カルテ9ー2

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「じんな、……す、ストップ……」 「無理」 「い、いや、ちょぃ待って」 「無理」 「……じ、時間……」 「無理」 チューチューチューチュー 何やっとんじゃい!! 「ちょっと!バカ者がっ!!」 「いってぇ」 掌で陣内の顎をやっと押し退けて 囲いから抜け出す。 「時間いっぱいなの!」 「……ちっ」 「は?あんた、今、あんた、今……舌打ちした!??」 陣内が舌打ちをしたのを初めて聞いたことに驚きを隠せない。 「どーしてくれんだっつーの、マジで」 「は??」 「ぜってー、暫く萎えない」 「は?」 「あー、突っ込みて」 「はぁ!?」 「煽りまくりやがって、マジで覚えてろょ」 陣内が……グレてる姿が新鮮で もっと見ていたい気がしたけど ここは我慢して、とりあえずトイレに行かなければ。 あんたが萎えないよーに こっちだってほぼお漏らしだわよ。 どーしてくれんだっつーの、濡れ濡れパンツ。 女の方が被害大だっての。 「先、行くわ。 じゃね、陣内」 「……備品とってから戻ります」 ……なんだ、ほんとにここに用があったのか。 そうですよねぇ、じゃないとあんな都合の良い現れ方をする訳がない。 ドラマじゃあるめぇしな。 けっ。 いや、それでも助かったのは事実。 ドアを開けて部屋を出る前に呟いた。 「陣内、ありがと」 一緒にいたい、と思う気持ちはキリがなくて だけど人生をこなしていくにはやらなきゃならないことも多くて…… とりあえず、我慢した。
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