カルテ9ー2

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やっぱ移植しかないかなぁ…… ちょうどイイ湯加減の風呂に浸かりながら 身体の力を抜く。 移植にしたって難しい条件をクリアしなきゃならない。 ドナーも、レシピエントも、だ。 ブクブクと頭まで沈めて プハ、っと水面上へ飛び出す。 トントン、と、ノックされたドア。 「有馬さん、生きてます?」 すりガラスの向こうに陣内の姿が見えた。 きっといつもより長湯なのを心配したんだろう。 「もう上がる」 陣内がいる生活は楽だ。 部屋も綺麗なままだし、なんだかんだと世話をやいてくれて 何も気にしなくていい。 一緒に住んでもいいかな…… ……………… ……………………………… ………………………………………… なんて、思った私がバカ者だった。 「有馬さん」 「え、や、」 「ほら」 「じ、じんっ」 ぺチリ、と小さな音がして 一度は妄想した風景が、いま、正に広がる。 拡がる、ひろがる…… 「約束したでしょ?」 「は??」 私を見下ろす陣内は今はまだ眼鏡で封じられた目ヂカラに 妖しいエロを……いやいや、色を載せて 私を部屋の隅まで追い込み 曝す。 「そんな約束してな」 「後で…… 風呂上がってからでいい、って」 は? この雄(オトコ)は……間違いない…… 極度の変態だ。 部屋着のハーフパンツとアンダーをずらして ガツンと勃ち聳えたザ!陳内!の微妙に嗤う口で私の輪郭を撫でる 撫でる なでる……。 ええぃ、やめぇ! ぺしっ、と叩いても びよん、と戻ってきて、私の小鼻に着地する。 「ほら、有馬さん」 コイツは、ほんとに アホ極まりない変態だっ。
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