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「陣内が?持ってくるの?」
首を大きく傾げた私に
ボスは余裕たっぷりの面で薄く笑う。
「さあな。
だけど、陣内に任せるよ。
オレはサポート」
サポート、って……
困った。
なんとなく複雑な気分だ。
「レシピエント心摘まではお前が進めるんだろ?」
「いえ、私は、前立ちです。
先輩がいますから」
「ああ、佐藤ね」
「はい」
「ま、その辺はちゃんと打ち合わせろよ」
「……分かりました」
「もう来るだろ」
「……は?」
「あ、陣内、ここに呼んでるから」
声にならない悲鳴をあげる。
は?
なに?
いや、嘘?なに?
こんなとこで
こんな場所でなにも鉢合わせしなくても
こんなとこで
「お疲れ様です、香川先生」
「おお、悪いな」
「いえ」
ひ!
陣内が現れた!
頭の中でモンスターに遭遇した時の音楽が鳴り響いて
私の身体の動きはそれだけで封じられてしまった。
「有馬さん、お疲れ様です」
開いた口を開けたまんま
動けずにいる私に、それは真面目を絵に描いたように真面目腐る陣内が
私を見てその鋭くも美しい目を細めた。
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