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ま、まてよ、待て。
ここでグラりと傾いちまえば
ヤられる。
こんな天気のいい星空の下でアンアン喘いでみるのも悪くないかもしれないけどさ……いや、そうじゃない。
見上げたそこで一際光りを放つちょっと大きな銀色の魂。
なんだっけ、一等星とかなんとか星とか。
「陣内」
「なんですか、有馬さん」
“有馬さん”って、いう響きをわざと聞かせてるのか、と思われるような擽ったい感じ。
こんな空気は陣内としか味わえない。
「星、綺麗だねぇ」
「それはよかった」
陣内は物凄くイイ男だよ、ほんとに。
「自分を燃やして光るなんて凄くない?
いつ尽きるかは分からないだけで
生き物とおんなじ」
「だから有馬さんは凄いんですね」
「は?」
「有馬さんが綺麗なのは常に燃えてるからですよ」
「あの、陣内、なに言ってんの?」
「自分の欲求の為に常にコアを燃やして
他と比べ物にならないくらいの熱を放ってる。
例えそれが、非常識とされることでも
間違ってる、とされることでも、それを止めないでしょ?
だからみんなあなたに惹かれるんだ」
絶句。
ほ、ほ、褒められてるのか!
誉められてるのか!?
手が莫大な湿り気を帯び始め、逃げ腰丸出しで解こうとする私を、全く離してくれそうにない褒める男。
「加倉井さんだって、そう。
命の強さを目の当たりにしたから
あなたに当たったんですよ」
「あの、じんな」
ちょっと
いや、出来る限り離して、離して欲しい。
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