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優しくなんてしてくれなかった。
滾るように
熱く、苦しいキスは
骨も軋むくらいに私を縛る。
ネトリ、と絡む舌の表面が唾液のアジを分析するのはそこが確かめて取り込む為の砦だからだ。
嫌だ、と厭がるフリをして
被虐を昂らせ、加虐を煽り
お互い専用の癖(ヘキ)を発動させる。
疼くのはあっちこっちのエロい部分。
陣内が好きだ。
好きで好きで堪らないと、あちこちで叫んでいる。
ホントは
加倉井さんに触れないでとか
思っていたりしても
彼女は病人で
まだ、高校生で……
しかも私が腹を貸した子で
……しかも私は担当医の端くれだ。
キスだけでは物足りないのは当然だった。
ファストセックスも
スローセックスも
こんなにシたいと思うのは、陣内だけ。
「有馬さん……これ以上はここでデキないよ」
コクコクと頷いた赤い顔は闇が隠してくれる。
「そんな可愛いことしないで……
いちいち反応しそうになるこっちの身にもなって」
恋は盲目、とはよく言ったもんだ。
発情したアラフォー雌(オンナ)のどの仕種が
こんな若い雄(オトコ)のナニを擽るというんだろうか。
「有馬さん、オペ終わるまでですよ」
私を抱きしめながら
頭の上で囁くのは、申し合わせの確認。
「それ以上は待ちません。
それに、覚えておいて
言い直しはききませんから」
私以上に私を知る陣内。
この雄(オトコ)の深さを私は知らない。
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