カルテ10

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星空の下でアンアンが無理なら じゃ、どこで、って。 この辺りはそんな事には困らないぐらいの ラブいホテルがたくさん並んでいる。 部屋なんて空いていれば何処でもいい。 エレベーターに乗り込んだ瞬間に息を呑んで 張り詰めた空気に緊張した。 私は このような場所には縁がない人間で 思いの外、普通な造りに驚いた。 “お前らがヤるのはこの部屋だ”と示すように扉の横に備え付けられた洒落たナンバープレートが点滅する。 部屋に入って、また普通の造りにちょっと気が抜けた。 もっと如何わしいのかと思ってた。 そしてもっと気が抜けたことがひとつ。 普段は 押し付けられて ケツを剥き出されて あ と、いう間に挿し込まれる そんな早業を擦(ナス)り付けてくる癖に 部屋に入ったところで立ち尽くしている私のそばを通り抜け 「なにやってんですか、そこでスルつもり?」 「へ」 「そんなとこじゃ優しくなんてデキないですよ?」 「……あ、そ、そだね……」 いやいや、なに 何をシレッとそんな事言っちゃってんのよ、あんた。 今そんな小っ恥ずかしいセリフをリピらんでよろしい、バカ者。 「早く脱いで」 「は?」 「今日は自分で脱いでください」 私以上に私を知る陣内。 この雄(オトコ)の深さを私は知らない。
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