カルテ10

24/35
前へ
/35ページ
次へ
「あー、エッロぃ」 ゆっくりとボクサーパンツを引き下げていく陣内の視線はソコに釘付け。 どうなっているかが想像できるだけに 紅く赤く上昇する顔をどうすることもできない。 「まだ、切れない……有馬さん……ねっばねば」 納豆かっつーの……恥ずかしいから 言わないで。 それを私に聞かせていったいどうしようっていうの。 「気持ちいいんだ ただちょっと、掻き回しただけなのに……」 口元を隠した。 唇が期待と恐怖に奮えるのを見せたくなかった。 陣内の長い睫毛が伏せられて、また上がった時には 視線も同じように上がっていて 力強く吼える瞳がザクザクと私を貫く。 ただ視られているだけなのに 自由がなくなっていく。 やだ。 やだ。 ベッドに座った陣内が無様な私を引き寄せて抱き締め、腹に耳を当てる。 恥ずかしさが大爆発した。 「どう、しようかな」 “ね、有馬さん” ゆっくりと顔の向きを正面に戻し 口付けたのは臍の下。 骨盤の底で護られた雌の内臓が一斉にざわめく。 皮膚を骨を通して伝わる陣内の低い音が 身体の中で木霊する。 「ぁ」 なんども、なんども、唇を擦(ナス)り付けて 優しい口付けを繰り返し 私を根底から痺れさせるこの雄(オトコ)は 私の総ての情報を 交わりを経て、知るのだろうか。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1624人が本棚に入れています
本棚に追加