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「若くて、活きのいいやつな。
候補があがったら連絡させる」
……なに、このスムーズな運びは。
「なんだ、闇医者。
その間抜け顔は」
間抜け?………にもなるわな。
だってこんな簡単に“はい、いいですよ”とかなに?
なんか、裏に敷かれてるんじゃないの?
「間抜けは余計よ……」
「ま、ドナーは見つけてやるけど
その他諸々そっちでやってくれよ」
「勿論」
勿論、分かってる……
これがどういうことかって。
正規に手続きを踏んで
それこそ、自分に適合するモノを
喉から手が出るほど欲しくても欲しくても
手に入れられない人たちを差し置くっていう行為な事ぐらい、分かってるし
イタイ行為だって分かってるし。
しかもこれが嫌で、ココから足を引っこ抜いたってことも分かってる。
なのに、何故か。
ほんの10ヵ月足らず。
繋がれた“緒”は私の血に魔法をかけた。
全く、なにも繋がらない胎児がそれを取り込んで育った、ただそれだけの縁だ。
加倉井さんには今でも何も執着はない。
だけど
法を犯してまでもどうにかしたいというのは
……完璧にエコ贔屓だ。
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