カルテ10

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「若くて、活きのいいやつな。 候補があがったら連絡させる」 ……なに、このスムーズな運びは。 「なんだ、闇医者。 その間抜け顔は」 間抜け?………にもなるわな。 だってこんな簡単に“はい、いいですよ”とかなに? なんか、裏に敷かれてるんじゃないの? 「間抜けは余計よ……」 「ま、ドナーは見つけてやるけど その他諸々そっちでやってくれよ」 「勿論」 勿論、分かってる…… これがどういうことかって。 正規に手続きを踏んで それこそ、自分に適合するモノを 喉から手が出るほど欲しくても欲しくても 手に入れられない人たちを差し置くっていう行為な事ぐらい、分かってるし イタイ行為だって分かってるし。 しかもこれが嫌で、ココから足を引っこ抜いたってことも分かってる。 なのに、何故か。 ほんの10ヵ月足らず。 繋がれた“緒”は私の血に魔法をかけた。 全く、なにも繋がらない胎児がそれを取り込んで育った、ただそれだけの縁だ。 加倉井さんには今でも何も執着はない。 だけど 法を犯してまでもどうにかしたいというのは ……完璧にエコ贔屓だ。
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