カルテ10

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なんとなく話が一区切りついたそこへノックの音。 「失礼します」 そう言って入ってきたのはブレイドさんだった。 「お持ちしました」 「おー、悪いな」 「は?」 キャスターで運ばれてきたモノに目が点になる。 さっきさ、客じゃないから何も出さなくていい、みたいな事、言ってたじゃない。 「有馬先生は麦酒で宜しいですか」 「は?いや、ちょっと待った」 と、断っている間にも テーブルの上に並べられる酒とツマミ。 しかも、そのツマミたちが なんとも高級な造りで……お手伝いさんが用意してくれているとは思うけど美味しいそうなこと極まりない。 「今日は忌日だ、付き合え、望絵」 「あ」 忌日。 そうか。 白石の祥月命日だ。 冷えたコップに波波と注がれた金色と白い泡。 見るからに旨そうで、急に喉が渇いた気にさせられる。 クソ代表ザルにしちゃ、なかなかいいとこあんじゃん。 「献杯」 グラスを持たせても何をさせてもそりゃ絵になるクソ代表ザルが、ビールを飲む姿はほんとに美しかった。 この子も 色んな波を乗り越えてきたんだと思う。 本当の白石の跡継ぎではなかったのに ここまで来る道程(ミチノリ)は たくさんの刺や壁や それだけじゃない、命を脅かすような柵に合ったはず。
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