ファイナルカルテ

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『いただきます』 日本にいた時より確実に確実に生活の質が上がっている。 クオリティ・オブ・ライフの向上だ。 『 お粥……うま!』 『 ……毎朝食ってるだろ』 『 そーだけどもさ。 今日もヤム』 青菜のナムル、それに甘い卵焼き どれをとっても日本じゃ食べなかったものばっかりだ。 私はいったいどんな生活をしてたんだろうか。 不思議だ。 ……いや、この際、最早不気味……。 「カムサハムニダぁ」 ため息と共に出た至福のセリフ。 ほんとに感謝してるんだよ。 3食、食べられる幸せと その時間がある幸せと 『 食っといて、掃除してくるから』 『 あ、はいはい、すまぬよ、すまぬ』 ほんのり鶏だしの効いたお粥を口に入れながら 姜(カン)先生の背中に手を振った。 姜鍵島(カンゴンド)、28歳。 生まれも育ちも韓国、ここソウル。 ここでの私の相棒だ。 まだ若い彼は発展途上のドクター。 私とは正反対の気質で丁寧かつ、繊細なスキルが魅力の韓流ドラマに出てきそうな若者。 なぜ、クソ代表ザルが彼を相棒に寄越したのかは不明だけど とにかくここに来たつい1年前のその日から私は彼に世話になっている。 いや、目の保養になって えーわぁ。 なんて…… 『おい!風呂場の電気は消せって言ってるだろ!』 現実は 『ちゃんと足マットを引いてから上がれよ! あー、水浸しにしやがって!!』 そんな、甘くない。 てへっ。
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