813人が本棚に入れています
本棚に追加
『いただきます』
日本にいた時より確実に確実に生活の質が上がっている。
クオリティ・オブ・ライフの向上だ。
『 お粥……うま!』
『 ……毎朝食ってるだろ』
『 そーだけどもさ。
今日もヤム』
青菜のナムル、それに甘い卵焼き
どれをとっても日本じゃ食べなかったものばっかりだ。
私はいったいどんな生活をしてたんだろうか。
不思議だ。
……いや、この際、最早不気味……。
「カムサハムニダぁ」
ため息と共に出た至福のセリフ。
ほんとに感謝してるんだよ。
3食、食べられる幸せと
その時間がある幸せと
『 食っといて、掃除してくるから』
『 あ、はいはい、すまぬよ、すまぬ』
ほんのり鶏だしの効いたお粥を口に入れながら
姜(カン)先生の背中に手を振った。
姜鍵島(カンゴンド)、28歳。
生まれも育ちも韓国、ここソウル。
ここでの私の相棒だ。
まだ若い彼は発展途上のドクター。
私とは正反対の気質で丁寧かつ、繊細なスキルが魅力の韓流ドラマに出てきそうな若者。
なぜ、クソ代表ザルが彼を相棒に寄越したのかは不明だけど
とにかくここに来たつい1年前のその日から私は彼に世話になっている。
いや、目の保養になって
えーわぁ。
なんて……
『おい!風呂場の電気は消せって言ってるだろ!』
現実は
『ちゃんと足マットを引いてから上がれよ!
あー、水浸しにしやがって!!』
そんな、甘くない。
てへっ。
最初のコメントを投稿しよう!