ファイナルカルテ

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よく呆れられたもんだ。 ほんとにちゃんとした教育をされてきたのかって。 ああ、常識に対してかな? あはは、それは分からないけど。 だから、私の医者としての裁きを見るまでは ほんとに冷たかった姜先生。 韓国は見えない金が集まるところ、なんだそうだ。 よくは知らない。 あのクソ代表ザルとタダではない“心臓”と交換した条件。 確かに。 こんな大都市に構えた小綺麗な病院。 白石醫院よりも格段に医療機器のレベルは高いし しかも前と違うのは、昼過ぎまではちゃんとした街医者並の診療をしているところだ。 だから、地元民も私の事を“ソンセンニ”と呼んでくれる。 近くの食堂では、何かしらの差し入れを貰ったりと なんだか、和気藹々としたムードに いつの間にかどっぷりと浸かっていることに気付いた。 『医療以外はほんと、ダメだな!』 姜先生の口癖は どことなく、懐かしい響き。 もう1年も経つのに、なかなか抜けていってはくれないそれに いつも潰れそうになる。 女は、一旦自分で“おんな”だと認めてしまったら なかなか、そこから立ち直る事が出来ない。 こういうのも ダメ女、と呼ばれる所以(ユエン)なんだろうな。 『日本人女性はもっと細やかだと聞いてたのに』 「ごみーん」 合掌して ご馳走様、ついでにベロを出しておく。 『ゴ、ミィン?なんだそれ、なんて意味?』 『 ごめん、の丁寧版よ』 擽ったい笑いが込み上げる。 『さ、働くか! 今日も1日よろしくお願いします』 韓国の1日が始まる。 なかなか、これでも忙しい日々を過ごしてるんだ。 まぁ、日本にいた頃よりも 確実に身体を休める時間はあるけど。
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