902人が本棚に入れています
本棚に追加
隠密な営みを終えて
着替えを済ませて医局に挨拶に行くと
何を血迷ったのか
「彼女とは、結婚する予定でいます」
そんな風に言っちゃう、陣内せんせー。
は?
目が落ちそうになった。
医局じゅうが悲鳴と感嘆の驚き、その割合7:3、に包まれる。
私を見る女子たちの目が心なしか攻撃的になったみたいで、痛い。
その中でわぁわぁ、とキラキラした顔で拍手をぶっこいてるのが、若い女子ドクター。
さっきの子だった。
「結婚式には呼んでください!」
いやいや、結婚するなんて
一切言ってないし。
そりゃー、子種まみれにはされたけど
周期的に考えてそんなに心配ないだろうし。
いや、自力で妊娠するか……それは
未だに分からないし。
「あんたドサクサに紛れてなんてこと言うのよ」
「紛れてなんていませんよ?」
私を正面玄関まで送る、と言った狡くて真っ黒な雄(オトコ)陣内。
「ホントのことですから」
「は?」
「有馬さんと、オレは近いうちに結婚します」
「いやいや、なーにオカシナことを」
「有馬さん、ちゃんとお留守番するんですよ?」
こないだから、この胡散臭さ大爆発の微笑みが
多発している気がする。
そして、何故かこんなタイミングで……
ナカで貯められていた陳内の不要となったセーシくんたちが“ドロー”っとパンツに染み込んだ。
唖然。
私がなにをしたんだっつーの。
そして
「有馬先生、ご無沙汰しております」
後ろから声のかかったその男に引き渡され
「後は宜しく」
「はい」
いやいや、もう、私のセリフスペースすら作っては貰えない、一応主演女優、ダメ女もうすぐ40歳……。
最初のコメントを投稿しよう!