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「ねぇ」
陣内と視線がしっかりぶつかっている。
「ねぇってば!」
絶対に聞こえている筈だ。
「ねえ!陣内っ!」
いくらスケスケガラス張りで外から丸見えだからってそんなに凝視するこたないだろが。
陣内よ。
これじゃ、入った気がしないっての
しかもそんなに見られてたんじゃ、どこも洗えないっつの!
先どうぞ、なんて言っといて
これは単なる覗き。
ベタりと張り付かんばかりの近さで、外からこっちを見つめる、アホ。
ギャグか。
まぁ、ガラス張りの丸見えだから仕方ないっちゃないんだけど。
ギロ、と擬音が付くくらいに睨まれた。
そして、クルリと向きを変え、ズカズカと歩いてきたのはバスルームの中。
「有馬さん」
「なによ!変態!」
「なんで、……なんでタオルを巻いてるんですか」
「は?」
そりゃ、あんたがずっと外でガラスに張り付いて中を見てるからだろが。
「風呂場に入るのに隠してどうするんで」
「変態」
陣内の左の眉がピクリと跳ね上がる。
「落ち着いて入ってられないっつの」
「変態上等」
「は?」
「1年以上もほっとかれたんですよ。
ちょっとはサービスしたらどうですか」
「は?」
「有馬さん、ほんと、オレがどんだけヤバいことになってるか、とか分かってないのかなぁ」
いやいや、口から出るんでしょ?
チン〇が。
そりゃ、ヤバいだろうよ。
知ってるよ。
「あっ!」
タオルの重なった部分を剥ぎ取るように指を引っ掛ける。
巻かれていたそれが身体に沿ってハラと解放された。
「なにする!」
「没収」
フ、と微笑った陣内はそのままバスルームを出ていった。
「なに、アイツ。
ほんとに何考えてんのか分かんない……」
こんなのは羞恥プレイだ。
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