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陣内が何をしたいのか分からなかった。
だけどこうなっては
致し方ない。
広めのバスタブ。
その向こうはスケスケガラス。
どうしてこんな仕様になっているんだ。
親兄弟とここにステイする時はどうするんだ!
シャワーブースはまた区切られていて
仕方なくそこに入った。
お湯を捻ると直ぐに適温が出てくる。
陣内はまた、あそこに張り付いているんだろうか。
あんな変態なことをしてるのは
飛びかかる衝動を抑える為のパフォーマンス?
そして
変態なのは私も同じだ。
手で身体を洗う。
ソコだけは明らかに異質の滑りを感じる。
ヌルリ、とした感触は
お湯のものでは、ない。
なぜ、今までの経過で、なぜこんなふうに濡れることがある?
そんな要素を含んだエロシーンがあっただろうか。
この短い時間を辿りながら
ボディジェルを身体に馴染ませた。
驚くほど泡が立ち、しかも、とてもいい匂いがする。
シトラス系のそれは、グレープフルーツを思い出してしまう。
記憶の連鎖。
擦り込まれた感覚。
陣内がどこをどう、触るか、どうするか
今までのそれが私の身体の中心をグイグイと締めあげた。
泡まみれの身体が厭らしく見える。
ジェルをさらに追加して泡の服を纏ったまま
シャワーブース出た。
陣内は、ガラスの直ぐ向こうで座っていて
変わらずにこっちを見ていた。
陣内……
私に触りたくないの?
バスタブを跨ぎガラス越しに陣内を探る。
そこに掌を添えると、思った以上に分厚い感じが伝わってきた。
「じんない」
小さな呟きじゃ、聞こえないけど
唇の動きはきっと分かる。
泡と掌をガラスにピタリとくっ付けて
外の陣内を誘う。
「ねぇ、じんない」
これはストリップショーか。
ガラスの向こうはどんな画になっているんだろうか。
押し付けた身体がガラスの冷たさに一瞬ビビった。
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