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朱く燃える景色の中で
厳かに誓う情愛。
ぬかりなく用意されたお互いの存在を常に感じさせるプラチナ。
サイズまでがバッチリだ。
そして、何度目?
誓いのキスを。
薄いベールを通して見てもクラリとするような
陣内の善さは半端なくて
式の間じゅう、バクバクした。
……陣内に振り回されっ放しだ。
よく考えたら
陣内は最初から私にズケズケとモノを言ってきた。
年下の癖に偉そうなヤツ。
そんなヤツと、番(ツガイ)になるなんて
ほんと、人生何が起きるか分からない。
夕陽が一日のうちでマックスの朱を放つ時
式の終わった海上のパビリオンで陣内に告げる。
「ねぇ、陣内」
「なんですか」
「望み通り、結婚してあげたわよ」
「随分上から目線ですね、有馬さん」
「だって、私のが年上じゃん」
「そうきたか」
整った顔を綻ばせて
どさくさに紛れて私を抱き寄せる陣内はホントに嬉しそうだった。
「じゃあ、年上らしいとこ
ちゃんと見せてください」
優しい顔で囁き
浪漫的口付けを施す陣内はいつの間にか
その姿を黒き獣にすり替えていた。
熱い身体と私を溶かそうとするように蠢く舌が
口の中の唾液を啜る。
「……今日は寝られませんから
しっかり食べてくださいよ?」
また、寝られないんだ、と思ったけど
それは、口にしない。
それでもいい、と
思ったのも、口にしない。
だって喜びそうだもん。
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