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おいおい、おいおいおいおいおいおい
おい、オレ!
最近の超音波検査機器は素晴らしい。
見つけたものが、何もしないうちから
ピピ、ピピッと計測をして
し、CRL……。
「……すげー」
「ちょっと?陣内ってば!」
カーテンの向こうから聞こえてくる望絵さんの
ちょっと不安げな声と
ちょっと怒りの籠った声。
あー、これ、ちょい待った
拡大して……
ドップラに変えて……
「あー……」
なんだこれ。
あー、そう、そうか。
「ちょっと!陣内!」
シャ、と開けられたカーテンから
怒り気味の望絵さんが現れた。
睨むように目を細めて眉毛をピクピクとさせ
歯噛みしたそこからギリ、と音が鳴った。
「陣内……なにやってんのよ、あんた」
「……望絵さん、見て」
エコー画面を望絵さんに向けると
望絵さんの顔に
特に、眉間が寄り、口元に力が入っていく。
「おめでとうございます、懐妊ですよ」
「……ほんと、だ」
「CRL(胎児頭殿長)12ミリ、今心拍計測しました。
推定……7週。
エラ、みたいですね」
毛穴が開いたのは
血圧が一気に勢いを増したからで
息が乱れるのは
極度の興奮がマックスを突き破ったからだ。
「望絵さん」
「なによ、陣内」
オレの落ち着いたフリと
望絵さんの落ち着きとは明らかに違う。
「おめでとうございます」
「……ありがとう」
興奮しないように、オレが少しボリュームを落とした音と
望絵さんの抑揚のない音はまるで違う。
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