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いつでも手の届くところに貴女がいる事は
オレには一番の安らぎ。
何度も心臓がひっくり返るような思いもしたし
(望絵さんが相続に駆り出された時とか?)
腸(ハラワタ)が煮え滾る思いもした。
(香川先生が絡んだり、智んとこ行ったり?)
心臓の奥が引き裂かれるかもしれないと思った時も
(勝手にソウルに行ったしね)
もう
勝手に何かをしないで欲しい。
“有馬さん”の頃に貴女を慕ったのは
夜はあんなに泣きはらす癖に
昼間はそんなことを感じさせないほど綺麗に笑う
そんなところに、中2ながらも惹かれたからだ。
望絵さんは覚えてないでしょ?
オレは何度もあの木の上から貴女に声を掛けてる。
“有馬さん”
だだそれだけ。
背中の傷は
貴女とオレを繋ぐ唯一の糸。
オレを縫った貴女が医者ではない(免許が無い)と知ったのは随分後になってからだった。
あの日は夜通し貴女の泣き声を聞きながら
独りで、勃たなくなるまで……限界に挑戦してた。
それでもひと目、“有馬さん”の無防備な姿を見たくて
いつものように
木を降りた。
その矢先の出来事。
一瞬、手を離した隙に身体が滑り落ちたことを振り返って目を細める。
本当の理由を知るのはオレだけ。
まさか、オナりまくってフラついた、とは言えなかった。
「望絵さん……掃除機の使い方、分かってる?」
「分かってるし!」
洗濯をしている間に掃除機を彼女に渡したオレが間違ってたのか。
笑いしか、出てこない。
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