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だけどさ、それはないよね。
「陳〇、入れたかったら
入れてもいいよ?じんなぃ」
「は?」
なに、そんな自分を差し置いて言っちゃってるわけ?
前、佐藤先生に言われたんだ。
あ、佐藤先生ってのは、望絵さんの院時代の先輩。
“いっときでいいから
あいつに専任する時間をやってくれ”
って。
すげぇ医者になるから、って。
で、ついでに陣内先生も、って。
望絵さんさ、狡いよ。
「入れてください、でしょ?」
「イれたいでしょ?挿入てください」
間接的に攻めてくるの、狡い。
いつの間にそんな顔が出来るようになったんだ。
もっと
この人を縛り付けたいと思うのを
約1年ちょっと、我慢した。
ちゃんと専任できる時間だったでしょ?
“有馬さん”。
だから、いい?
オレもついでに、凄くなったから
いい?
「……ハ……」
息が詰まりそうになる。
望絵さんに入り込むと
どこかを、全部を我慢しなきゃならなくなる。
「……でそ」
有り難いことだ。
じゅうぶんに望絵さんを埋め尽くせるだけの持ち物で良かったと思う。
ひょっとしたら
そう思って、善がっているのはオレだけかもしれないけど
手を伸ばして、しがみつき
皮膚と皮膚を突き抜けて響く鼓動の一喜一憂を
オレに感じさせてくれる貴女が
愛しくて、仕方ない。
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