1049人が本棚に入れています
本棚に追加
裸で微睡み、俗に言うイチャイチャを繰り返し
隙あらば嵌まって
2時間潜むこともあれば
5分で置いてくることもあり
何もせずそのまま眠りにつくこともある。
とにかく
望絵さんが好きで堪らないオレは
職場でも愛妻家で名を馳せている。
宣言通り、結婚を果たし
鬱陶しい小さな虫が纏いつくことも減り
頗る快適に仕事をこなすことも出来る今日このごろ。
妻の溺愛ぶり、を披露するかの如く
スマホ待ち受けには望絵さんを貼り付け
あわよくば
例のあの
あの
アレを
……あぁ、思い出すだけで鼓動が爆発する。
「バルーンカテ入れるよ陣内」
「ああ、はい、どうぞどうぞ」
「あんた、腎動脈塞がないでよ」
「大丈夫ですよ」
白石醫院にまだ在籍しているオレは
バイト望絵さんの下っぱで働くこともある。
バイト医師だとは言うものの
実質、望絵さんがここの長だと言ってもいい。
香川先生が言っていた通り
“違法の合法”。
国のある機関が後ろ盾に入っているここは
警視庁とも縁のある医療施設。
祖父は検視もしていた。
オレがここで初めて切ったのも腐敗の進んだ
ちょっとイワク付きの遺体。
20の夏だった。
懐かしい。
だだただ、目の前のこの人に追いつきたくて
違法医療行為に浸かり
あらゆるノウハウを祖父恭志郎と香川先生から盗んだつもりだったけど
ほら、素早い素早い。
望絵さんの手技。
横行膜直下で大動脈クランプをかける。
小網切開から胃を引き下げるのも
見てんのか、っちゅーぐらい速い。
ああ、今、腎摘出の真っ最中。
惚れ惚れする。
……望絵さんはたまに
オレの管にもクランプする。
ああ、クランプってのは、要は締め具ね?
最初のコメントを投稿しよう!