包まれた愛

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目を開けるとぼんやりと男の人が見える。 私の手に、大きくて温かくて 包み込まれている安心感がある手が添えられている。 「遥人……?」 違う、よく見たら、誠一さんだ。 整えられている髪型は乱れて 口も少し開けて寝ている。 いつものビシッとした格好からは想像ができない姿だ。 「この人だって、ただの人間なんだよね。ただ不器用なだけで」 人の数だけ、人への愛し方があるように この人はこの人なりに美緒さんを愛していた。 みんな両想いになれたらいいのに。 みんな、幸せになれたら、いいのに。 だけど、誰かが傷つくのが恋だから。 自分を犠牲にするのが、時に愛だから。 「ん……」 「起きました?」 「え?」 「誠二の病室ですよ。まだ2人は帰って来ていないみたい」 「え!申し訳ない!」 「ん?何がです?」 「その手を、重ねてしまって」 「べつに何とも思いませんよw」
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