包まれた愛

6/23
前へ
/140ページ
次へ
「え?結婚していない?どうして?」 仕事を終えて、誠一さんとの待ち合わせのカフェに行くと 誠二の近況を教えてくれた。 2人は入籍しているとばかり思っていたけど 結婚していなかっただなんて。 「2人なりのケジメなのかなと思っている」 「そう……」 「だけど、私は結婚して欲しいと思っている、2人に」 「誠一さん……いいの?」 「永一が、一生懸命私の跡を継ごうと頑張っていてくれて、2人が授けてくれた永一が側にいるだけで、幸せなんだ。本当なら、永一の両親は2人なんだから、名乗り出たっていいのに、それは誠二がしたくないと。永一は、きっと自分の父親は俺じゃなく誠二だと気づいている。だけど、何も言わない。あの子は賢いから」 「まだ子供なのに、すごいね、永一君」 「永一の未来を思って、親として名乗りたくないなんて。親って……本当凄いんだな」 「うん、そうだね。でも、誠二も誠一さんに感謝しているよ。大事に育ててくれて、嬉しいと思う」 「だから、せめて2人に罪の意識を少しでも軽くしてあげたいんだ。永一も、2人には結婚して欲しいと願っている」 「永一君も願っているなら、私も応援したいな。何をすればいいの?」 「実は、美緒のドレスを選んでほしいんだ」 「美緒さんのドレス?私が選んでいいの?」 「体型とかが難しくて、サイズが分からなくて」 「分かりました。ドレスを選べばいいんですね。了解です!」
/140ページ

最初のコメントを投稿しよう!

705人が本棚に入れています
本棚に追加