第1章

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【小笠原 洋一郎 資料室の室長を命ずる】 ヒソヒソと所々で噂されているのは、資料室に移動が決まった俺の事だ。 小笠原 洋一郎。43歳。独身。部長のお嬢さんとの縁談を断ったら…飛ばされた。室長とは名ばかりの体のいい首切りだ。 バリバリ仕事をしていた俺に…ここで資料の整理をしろと言う。まさに島流し。ここに飛ばされた人は、必ず会社を辞めていく。 俺の辞表が欲しくて堪らないだろうが、そうは問屋が卸さない。 この資料室には俺を含めて3人の社員が所属している。 場所がまた酷い。地下1階の一番奥の部屋。薄暗い廊下は節電の為。とことん嫌がらせするつもりだ。 ドアをノックして扉を開けた。 「おはようございます。今日から、お世話になります。室長の小笠原です。」 既に机に座っていた、ふたりの社員が立ち上がって俺に頭を下げた。
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