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 助手席の扉を開けて飛び乗り、九条の腕を引く。勢いよくシートを倒して彼の顔を引き寄せれば九条はバランスを崩して花屋の身体に覆いかぶさっては、ちからが加えられるがままに唇を合わせ、舌を絡めて唾液を流し込んだ。 「っ……ふっ、」   今度はちゃんと呼吸をして、九条の唇を貪る。   片腕を下腹部に伸ばし、自らのベルトのバックルを外して膝下までボトムスと下着をずり下げる。触れようとしてこない九条の手指を再度強く握ると、口淫の合間に彼の右示指に唾液をまとわせ、そのまま後孔へと誘った。 「なぁ、どうしたってんだよ」 「いいから、お願いだから……!」  性急に彼を求める。  欲情しきった瞳で見つめられては、九条に理性は残っていても脳髄はぐらりと揺らされ身体は更に熱くなる。後孔をノックしてやれば、花屋は安心したように身体を弛緩させた。唾液をわずかな潤滑剤に爪の先を挿入させた。 「ッあ……あ、はや、く……しゅ、じさん、早く……!」  開け広げられた扉からは吐き出される喘声は外へと漏らされるが、出番とばかりに出てきた夕暮れのひぐらしの音にかき消される。  挿入された感覚に瞼をおおきく広げて瞳を括約させる。上ずった言葉を吐き出しながらもなかなかに侵入を深めない彼の指に焦燥して、花屋は唇を食いしばり自ら腰を揺らしてそれを飲み込む。半年間数え切れぬほど侵入してきた九条の手指は容易に奥へと入っていき、どこをつつけば花屋が歓喜の嬌声をあげるかを知っている。  それを掠めて逃げようとしたのに、揺らされる花屋の腰と、導くように蠢く花屋の内部にそれは叶わない。花屋は自らの前立腺に指の腹を押し付けさせおおきく身体を仰け反らせてはその動きによってまた、其処が擦られ止めどなく嬌声を響かせた。 「く、そ……」   花屋は今までにないほどに感情をあらわにして自分を求めてくる。その情の矛先は分からずも、比類ないほどに乱れる彼にいくら抵抗しても彼は喜ばないだろうと理解する。 本意ではないが、花屋の要求にようやく従って指の腹を折ってやる。 「っぁあ! で、ッ……でちゃ、い、ッ……!」   ぶんぶんと頭を振り乱しながら九条の首に腕を回して彼の瞳を自分のほうへと寄せた。せり上がる快楽と共に性器から吐き出されそうになっているのが、白濁液だけではないと花屋はわずかに怯えて身体を震わせながらも腰を揺らすことをやめない。
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