梟は何も見ていない

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 僕は重たい足取りでマンションを降りて、愛美ちゃんのマンションへ向かう。 彼女の部屋はここから歩いて15分位で、六階の六号室だ。手紙を送る時、郵便受けで確認している。  それにしても、犯人は一体どうやって僕が愛美ちゃんを見守っていたことを知ったのだろう。 ひょっとしたら犯人はストーカーで、彼女を見守っていた僕のことが邪魔だった。然し僕自身はただ見守るだけの存在なので無害だと悟り、愛美ちゃんの殺害を実行した。 丁度、先程愛美ちゃんがマンションに帰宅する所を部屋まで尾行して。  それだと幾つか矛盾がある。 犯人は僕の個人情報を知っていた。それをどうやって知り得たか。マンションの階数か? そこから僕の部屋を割り出して、表札を見た。それしか考えられない。 僕が見守っているなら、恐らく殺害原場も目撃することになると。その時の口封じの恐喝の道具として、なんと言う用意周到な犯行だ。  そんな事を考えていると、愛美ちゃんのアパートに到着した。 ロビーを抜け、エレベーターで六階の六号室に向かい、ドアホンをゆっくりと押す。
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