717人が本棚に入れています
本棚に追加
アカリちゃんは、僕が思う、理想の女の子像そのままだった。
男なら誰だって、僕なんかより彼女のような女の子が良いだろう。
だからこそ、陽介さんが彼女を店に連れて来た時は、平静を装いながらも内心はかなり動揺していた。
華奢で細い肩、低い目線で上目遣いが良く似合う。
手なんか、僕の手の第一関節にも届かないくらい小さいんじゃないだろうか。
笑顔もふわふわ、綿あめみたいに柔らかくて優しい、女の子。
僕から見ても、守ってあげたくなる女の子。
そう、思っていたんだけど。
「あー、騙された。めっちゃ騙されました、もう最悪」
「はあ……すみません。ほんとに」
開店30分程前。
店に現れた彼女は、今までの雰囲気とはかけ離れたガラの悪い目つきで僕に絡んできた。
「まさか、慎さんが女だったなんて」
どうやら、陽介さんから僕と結婚することを聞いたようだった。
最初のコメントを投稿しよう!