バレる、いろいろ。

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「あれ……いらっしゃいませ。お久しぶりですね」 扉の開く音にそちらへ目を向ければ、最後の来店がいつ頃だったか、すぐには思い出せない程度に久しい顔があった。 「ちょっと仕事が忙しくてね。半分ほどは海外で買い付けに行かされてたしね」 「それは、大変でしたね。どうぞ」 おしぼりを差し出すと、以前はわざと手に触れたりと少々厄介な客だった。 ゲイの彼には、僕は随分と好みの外見であったらしい。 僕がゲイではないと知ってからは、それこそすーっと波が引くように手を引いて、至って普通の客になった。 まあ、騒ぎを起こしたにも関わらずなに食わぬ顔で来店するなんてふてぶてしい、と、うちの番犬が常に威嚇していたが。 「番犬くんは元気かい」 さして堪えた様子もない。
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