根無し草

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常連客に連れられてきた、バカでかい男。 人懐こくて、人の好さげな、感情が全部表情に出てわかりやすい男。 場慣れしてない場所である自分を、隠さず出せるとこが妙に肝が据わって見える。 それともただの馬鹿なのか。 男だと認識してるはずの真琴に、ひとめぼれしましたといきなり告白した時には「うん、馬鹿だな」と確信した。 馬鹿犬だ。 そしてその野生並みの嗅覚で、真琴を女だと嗅ぎ分けたに違ぇねえ。 だけど勢いがある。 悪い奴じゃねえ。 ちょうど、梶のオッサンの件もあったことだし、それを理由に真琴に近づける理由を一つ、与えてみた。 早々上手くいくことなんてないかもしれないが、これが転機になれば、と思ったからだったのだが。 いやいや、なんてこたあねえ。 真琴は見事に、恋に落ちた。
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