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そりゃそうだ。
怖い思いをしたせいで男に対する警戒心だけは強いが、これまで恋らしい恋なんてしたことねえ、免疫皆無、まっさらだ。
それをあんな、馬鹿正直な男にぐいぐい押されまくったら、嫌でも意識すんだろう。
ただ一つ予想外だったのは。
女の顔を見せるようになった真琴が、やたらと艶っぽかったことだろうか。
嫉妬したり、拗ねたり照れたり怒ったり。
おおぅ……良い顔するようになったじゃねえか。
ガキだガキだと思ってたのが……やべ、もったいないことしたな。
色っぽいじゃねーか。
横からぱくっと食っちゃってもいいかな、とか、思ったことがなかったわけでもない。※
真琴に信頼されているという自負はあったし、俺に対しては油断しまくりだ。
手ぇ出そうと思えばいつでも出せちゃうわけだよ。
やんねーけど。
だって俺、責任とか取るタイプか?
無理だわ。取れねーわ。
そうそう、そういう男だよ俺は。
サイテー!
子供まで作って、一度はそういう普通の家庭ってのを作ろうかと試みたことがあったが、その真衣にも捨てられちゃったしな。
あれとはほんと、離れてる方が上手く行く。
可愛い義妹を託すには、陽介は最高の男だろう。
一途で誠実で一直線、俺とは正反対。
あんな男もいるんだなー。
何より、真琴が陽介には全部、話した。
俺には頑として話さず隠し通したことを、全部。
それを知った時、柄にもなくちょっとショックだった。
正月の一件があり予定より早く神戸から戻った俺に、陽介はすぐさま会いに来た。
※「14話大人の男は安全牌を装うのが上手いらしい」、応援特典「佑さんの憂鬱」参照
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