露店商 火の玉屋

4/7
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「坊っちゃん、いらっしゃい!火の玉一つどうだい?」 少年は、ぶんぶんと頭を振った。 「それどころじゃないんだ!僕、みんなとはぐれちゃったんだ!」 火の玉屋は、へらへらと笑う。 「そいつぁ、大変だな!でも、火の玉買ったら、火の玉が連れを見つけてくれるぞ!」 少年は、そうじゃなくて!と声を荒げた。 「僕は迷子なんだ!おじさん、大人なんだから対処しろよ!」 火の玉屋は、まだへらへら笑う。 「嘘じゃねーよ。まぁ、緊急事態だから、見せてやるよ!」 そう言って火の玉屋は、店の後ろで焚かれていた火をろうそくに点けた。 「おじさん、悪い人じゃないだろうな?」 迷子の割には気の強い男の子に店主は、そのろうそくを渡す。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!