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「今年は特別にただにしてやる!来年は金払えよ!まぁ、もうやめるけどな!」
ぽかんと、ろうそくを受け取ってしまった少年は呆ける。
しかし、すぐに腰を抜かした。
「何これ?足と手が生えた……。げっ!顔も出てきた!」
手足が生えたろうそくは、少年の手から飛び降りて言葉を発した。
「君が僕のご主人かい?迷子を助けて欲しい僕のご主人様かい?」
ろうそくに顔が浮き出て頭に炎がゆらゆら。
少年は、それを見てここに来て初の笑みを見せた。
「何これ?可愛い!」
店主が、満足そうに人差し指で鼻をこする。
「これが火の玉屋の火の玉だ。可愛いが、こいつが動けて話せるのは炎が消えるまでだ。だが、来年もここに来りゃおんなじ火の玉に会える!もう、やめるけどな!」
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