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「もうやめてやる」
「え? 何、をっ!?」
どん、と。
背中に衝撃。
狼狽えて顔を上げた先で、切羽詰まった顔した隼人がオレを苦しそうに見つめていて。
ドギマギした。
「はや、と……?」
どうしたのと聞くよりも先に、隼人の顔が近づいてくる。
それはまるで──キスするくらいの、近さで。
「──っ、隼人っ」
「──何その顔。誘ってんの咲哉じゃん」
「誘うって、何……っ」
ぎろりと睨み付けてくるのは、見たこともないほどに強い目と、嗤う唇。
離せと抗うはずだった腕は、隼人の手のひらに呆気なく封じられた。
「やめてやるよ、もう」
「だっ、から、何を」
「お前と、友達でいんの」
「な、に……?」
「もう無理だわ」
「っ、なんでっ」
何か気に障るようなことでもしたかと、隼人の突然の台詞に焦って紡ごうとした唇を。
隼人の、やけに熱い唇で塞がれる。
「──っ!?」
訳が分からなかった。
オレは男。隼人も男。
なのに、なんでキスなんか。
してるんだろうとパニックに陥るオレを無視して、隼人はオレを貪って食い尽くす勢いでキスを続けていて。
「ンッ、は、やとっ」
息継ぎさえ困難なキスの嵐の合間に抗議のつもりで上げた声さえも、隼人に食べられた。
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