これから先の君を、一瞬でも離したりしない

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「ねぇ、みんなでお祭り行かない?」  ことの始まりは、登校日の教室で上がった女子の一言だ。 「いいね、それっ」 「どうせだったらさ、みんな浴衣で行こうよ」 「何それ何それ、ちょー楽しそう」  きゃっきゃ弾む声で楽しげに会話する女子一同を呆れた顔で見る男子と、オレもオレもと会話に参加する男子と。  二手に別れた男子の会話にすら入れなかった、オレと。  盛り上がるクラスメイトを呆れ混じりの優しい顔で見ていた隼人は、何かに気付いたみたいにオレをちらりと見た後で口を開いた。 「浴衣なんて女子は持ってても、オレらは持ってねぇよ」 「そんなん安く売ってんじゃん。てか、みんなで選んであげるよ」 「それにさ、高校最後の夏休みなんだし、これから受験で忙しくなるんだし。思い出作りって大事じゃん」  ねー、と盛り上がる女子に、オレもそう思うー、とノリ良く混ざった男子と。  嫌がってもどうせ巻き込まれるんだろ、と言いたげに苦笑いする男子と。  何のリアクションも出来ないままのオレと。 「……だってよ。どうする? 咲哉」 「ぇ、と……オレは……」  やめとくよ、と言うはずだったのに、女子のキラキラした目がオレの声を封じて。 「ぇ? てゆか、強制参加だよね?」 「そうだよね? クラス行事だよね?」  ねー、なんて顔を見合わせて笑う女子一同に、気付かれないように溜め息を一つ。
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