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「ところで」
「私」は乱丸に質問した。
「この手の推理小説の約束事は守ってるんだよね?」
「勿論!」
乱丸はいつも以上に強い口調で答えた。
「ノックスの十戒やヴァインの二十則に乗っ取って、登場しない人を犯人にしたり、物理学的に無理な方法……登場人物の証言に嘘は無い……それと、作品中に表されていない道具や秘密通路、隠し部屋なんかは無い。それを頭に入れて書いたつもりですよ…」
「だったら大丈夫だね。」
「ただし、本当にこんな作中のような施設が有るかとか、こんなイベントが有ったのかについては、無駄に文章が長くなるから書いてないよ。たまたま僕がそのイベントに参加して現場に行き合った…そんな感じで読んでね。
「了解!」
「私」はスマホから彼の作品を開き、読み始めた。
「犯人当てられなかったらおごってよ~」
と言う乱丸の言葉もまともに耳に入らずに……
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