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ギギギギギと大きな軋み音をたてながら扉を開けてもらって納得した。
2枚の扉の間には壁があるのだ。
「何で青側とピンク側の間に壁が有るんですか?」
俺の質問に、美人は、外の眩しさが無くなった為、サングラスを外した素顔でこちらを見ながら答えた。
(ちなみに瞳の色はブルーとグリーンが混じった様な不思議な色だった。)
「今入ってきた青い扉の方は、全員男性が住まれてるんです。」
「じゃ、ピンクの方は…」
「はい。想像通り、女性は全員ピンクの方です。」
『そっかぁ。まぁ一応男女は分けとかないとな。』
等と考えながら辺りを見回す。
薄暗い照明。壁も床も、薄い青で統一されている。
唯一、部屋の扉だけは木目調だが。
通路の右側にある扉の上には部屋番号らしき数字が記されている。
薄青い扉を入ってすぐの「1」の部屋を指し、「村崎さんは今夜はこの部屋にお泊まりください。」と美人は言った。
廊下の奥には2、3、4…と部屋が続いている。
「…あの~…この部屋全部に入居者がいるんですか?」
俺が質問すると、美人は薄笑いを浮かべ、
「過去には6まで満室の時もありましたけど、今は空室の方が多いんですよ。こちらの青扉側は、2、4、6に入居者がいます。ピンク側は1、3、5に居ます。
あ、ちなみに両方とも7は共同浴場、8はトイレになってます。」
そう言いながら美人は「1」の扉の鍵を開け、
「荷物の整理が終わったら、さっきの食堂で色々お話しましょう。」
と言いながら、青扉を出ていった。
「1」の部屋に入ってみる。
広さは8畳程。
ある程度の広さの窓の外には、多少錆びているが5センチ間隔程度の鉄格子が付いている。
結構ガッシリしてるので、壊したりするのは無理だろう。
それに、さっき見た限り、廊下の奥は壁だった。
つまりこの建物は、人や物の出入りは玄関からしか出来ないって事か……
部屋の中には、扉の左奥にシンプルなパイプベットと、部屋の真ん中に小さなテーブルと折り畳み椅子が2脚。
扉の右奥には小さなタンスがあり、タンスの上には小型テレビが置かれている、シンプルな内装だ。
取り敢えず荷物を部屋の隅に置くと、俺は美人と話す為に食堂に戻った。
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