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ワタシはふつうの女の子のシュリナ!
ふつうの学校でふつうの受験生を営むワタシだけど、今日はちょっと普通じゃない!
「いっけなーい!遅刻しちゃうーっ!」
生焼けのトーストを咥えて、ワタシは走っていた。
そうしないと、遅刻しちゃうから!
でも、ワタシはあんまり前が見えていなかった……。
「ぐぎゃっ」
「あいたっ!」
曲がり角で知らない男の人にぶつかってしまったの!
その男の人は髪の毛がなくて、身長は2メートルはありそうで、黒いスーツを着ていて、顔を押さえてうずくまっていた。
「だ、大丈夫ですか……?」
恐る恐る声をかけると、男の人はこちらを向いた。
そしてその顔に、ワタシは驚きを隠せない!
だって、前歯が全部折れていたんだから!
「あ、あはは、独創的なお顔ですね……」
「お前のせいだぞ女ァッ!!」
どうやら、ワタシの頭とこの人のお顔がぶつかったみたい。
前歯は根本からポッキリ、ナオルトイイケドナー。
「慰謝料、払ってもらうからな」
「えっ」
その後、ワタシは怖い事務所に連れられて、前歯の治療費五千万円を払わされることになってしまった。
「俺は組長のカビオ=コワモッテ。コワモッテファミリーのボしゅだと思えばいい」
「五千万なんて払えません!」
「お嬢ちゃん、運が悪ふかったな」
「五千万なんて払えません!」
「まぁそうだろう。だが、なんとしても払ってもらわなきゃならん。よってお嬢ちゃんに、ある仕事をヤってもらう」
「五千万なんて払えません!」
「話聞いてくれよ頼むから!歯が痛いの我慢してんだよ!!」
おじさんは大きな声でお願いをする。
「おじさん、頭が高いです。それが人にモノを頼む態度ですか」
「じゃかあしい!!俺はお前より背が高いんだ!!」
「ボス、そこじゃないっす」
下っぱのドレッドヘアーのお兄さんが宥めてくれたお陰で、歯抜けのおじさんは落ち着いたみたい。
ほんとにごめんね、歯抜けのおじさん。
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