借金は突然に!

2/8
前へ
/42ページ
次へ
ワタシはふつうの女の子のシュリナ! ふつうの学校でふつうの受験生を営むワタシだけど、今日はちょっと普通じゃない! 「いっけなーい!遅刻しちゃうーっ!」 生焼けのトーストを咥えて、ワタシは走っていた。 そうしないと、遅刻しちゃうから! でも、ワタシはあんまり前が見えていなかった……。 「ぐぎゃっ」 「あいたっ!」 曲がり角で知らない男の人にぶつかってしまったの! その男の人は髪の毛がなくて、身長は2メートルはありそうで、黒いスーツを着ていて、顔を押さえてうずくまっていた。 「だ、大丈夫ですか……?」 恐る恐る声をかけると、男の人はこちらを向いた。 そしてその顔に、ワタシは驚きを隠せない! だって、前歯が全部折れていたんだから! 「あ、あはは、独創的なお顔ですね……」 「お前のせいだぞ女ァッ!!」 どうやら、ワタシの頭とこの人のお顔がぶつかったみたい。 前歯は根本からポッキリ、ナオルトイイケドナー。 「慰謝料、払ってもらうからな」 「えっ」 その後、ワタシは怖い事務所に連れられて、前歯の治療費五千万円を払わされることになってしまった。 「俺は組長のカビオ=コワモッテ。コワモッテファミリーのボしゅだと思えばいい」 「五千万なんて払えません!」 「お嬢ちゃん、運が悪ふかったな」 「五千万なんて払えません!」 「まぁそうだろう。だが、なんとしても払ってもらわなきゃならん。よってお嬢ちゃんに、ある仕事をヤってもらう」 「五千万なんて払えません!」 「話聞いてくれよ頼むから!歯が痛いの我慢してんだよ!!」 おじさんは大きな声でお願いをする。 「おじさん、頭が高いです。それが人にモノを頼む態度ですか」 「じゃかあしい!!俺はお前より背が高いんだ!!」 「ボス、そこじゃないっす」 下っぱのドレッドヘアーのお兄さんが宥めてくれたお陰で、歯抜けのおじさんは落ち着いたみたい。 ほんとにごめんね、歯抜けのおじさん。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加