透明裸婦水槽に泳ぐ金魚たち

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タクミが足を止めた。浅い呼吸が何度か聞こえた。 「……信じてもらえないかもしれないけど」 「うん」 「あの時、浜辺で小峰雪乃に誘われた時、遠くからサラが来るのを僕は見ていたんだ」 「……」 「一度は小峰を拒もうとしたのに、体が」 タクミはいちど言葉を止め、こめかみに指を当てた。 落ち込んでいる時のクセだ。
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