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「体が乗っ取られたみたいに、言うことを聞かなかったんだ。妙な黒いスーツの男が耳元で言うんだ、オープンマリッジ、とかなんとか。それで、気付いたら、小峰とキスしてた」
「……そう」
「信じないだろう、こんな話。いい訳でももう少し上手くつけと言いたくなるだろう。でも本当なんだ」
「分かるわ」
「分かる?」
「ええ、分かる」
タクミが、怪訝な顔をしながらつづける。
「でも僕の中にどこか、この男につけこまれるスキが――つまりサラを裏切って、小峰の誘いに乗りたいと思う気持ちが、心のどこかにあったんじゃないかって、そう思うと後ろめたくて、ずっと何もいえなかった」
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