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遠く、遠く、耳の遠くで
サイレンの音が聞こえた。
「こっち!こっちだ!
高校生達が倒れている!」
…あれ。遠くじゃねえんだ。めっちゃ近いんじゃんかよ。
なんで遠くに聞こえたんだろう…ああ、そうか。
俺の意識が、遠のいているからだ。
だんだんと視界が滲んでいく。
ああ、これが…意識が遠のいている、という現象なのか。
「おい!この男の子だけ、声に反応しないぞ!!」
…いや、違う。
俺は…俺は……
「…泣い、て……」
世界が真っ暗になった時、俺の思考回路は遮断された。
この日、俺という存在は消えたのだ。
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