5人が本棚に入れています
本棚に追加
紫色の炎が見えた。
魔界が、魔界が燃えている。
隔離され、あの世界からは簡単に見られないような術が施されている俺がいる部屋からは…炎と、叫ぶ魔界の人々しか見えない。
俺の部屋から見える魔王城。
そこから、光り輝く1人の青年が出てきた。
なぜその青年は光り輝いているのか。
俺は理解ができなかった。
ただその青年の顔には、満面の笑みが浮かんでいて。
青年は取り囲む数人も、満面の笑みを浮かべていた。
その姿を見て、魔界の人々は泣き、叫ぶ。
魔界の崩壊がこの時、始まった。
"魔王"を殺された魔界の民は暴れ狂い、次々に光り輝く青年と数人の男女に殺された。
全てが終わるのに、そう時間はなく。
彼等は最後の最後まで、俺に気付かず…魔界を出て行った。
彼等が消えて間もなく、俺を隔離していたはずの透明な壁は崩れた。
あたりには、未だ燃え続けている家屋に、崩れてしまった塔。
俺が4歳になる時だった。
数日後、俺は知った。
この日、この世界では…大きな大きなニュースが出回っていたらしい。
『勇者一行は魔王討伐を成功させ、
魔界は壊れた。
今の所魔界での生存者はゼロ』
4歳ながら、俺は聡明なその頭脳でボロボロの新聞を読んだ。
そして…その時、誓ったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!