第1章 終業式からのバイト直行

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第1章 終業式からのバイト直行

 名古屋鉄道 某駅前のコンビニに向かう男女の高校生2人組が歩いていた。どちらも同じ校章のワンポイントが付いた半袖シャツを汗で湿らせながら歩いており、今日も暑いだの、やっと夏休みなどと言いながら揃って入店した。2人は入店し、レジ前に立つ店員と軽く挨拶する。  「店長、おはようございます。」  そう言って可愛らしい笑顔であいさつを済ませた小柄な女子高生は、ひょこひょことスタッフ用の入口へ向かい着替えに行った。  「店長、今日もよろしくお願いします。」  もう片方のやや筋肉質で背も高い男子高校生はその場に残り、他に客がいないのをすこし確認してから会話を続けた。  「店長、今日も暑いっすね。」  「安藤君、おはよう。今日から夏休みだっけ?学生はいいねぇ、俺も夏休み欲しいなあ。」  少し話して今日からのシフト表を確認したら帰るつもりだったが、店長はよほど暇だったのか話し相手が欲しかったのか話を続けたそうな空気を出している。自分も時間には余裕があったので、客が来るまで会話に付き合うことにした。  「はい、今日から夏休みに入りました。大人は大変ですよね、夏なのに休みが少なくて。」  「そう!そうなんだよねぇ。大人は夏だからって休みが多くならないかな。安藤君は、学生のうちに夏を満喫するといいよ。彼女とかいると夏休みは楽しいよ。あぁあの頃に戻りたい。」  だんだん店長の声が暗いトーンで過去に思いを馳せ、表情が暗くなるのを見てなんとか店長を元気づけようと話の方向を変えてみることにした。これ以上、接客業にあるまじき表情を浮かべている中年男性を店内に立たせてはいけないと思ったからである。  「店長、元気出してくださいよ!俺や宮も今日からシフトたくさん入れますから、店長も少しは楽になりますって。それじゃ、俺、シフト表見に来ただけなので失礼します。」 彼なりのやさしさで店長の表情は少し和らいだのを見て、彼も先ほどの少女が入ったバックヤードへ向かった。
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