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「い、いやさ。去年の事謝ろうと思って」
「みんなから謝れっていわれたんでしょ?」
「まあそうなんだけどさ……」
「もういいよ、どっかいって」
「あの、去年あれでも、けなすつもりで言ったんじゃないから」
「最低」
「いや、ぶっちゃけお前の事かわいいって思ってるし」
「うざ」
「マジだって。いやオレ前からゆゆちゃんの事好き……だったんだよね」
「はあ、うそでしょ?」
「マジで」
「……嘘でしょ?」
「マジ」
「ほんとは?」
「マジで」
「……マジかあ」
え、なにこの流れ。
マジでコイツ言ってんの?
あーでも、この顔はマジかもしれない。
好きな子に意地悪しちゃう男の子の定番みたいな?
つかでも――あれ?ところでなんで今私ちょっとドキドキしてんのかしら?
「でも今言う?」
「いや、今じゃねえとだって言うタイミングじゃねーじゃん。なかなか話したりもできねーし」
「まあそーだけど……」
「とにかく好きなんだよ」
「ううっ……」
この好きって言葉は魔法だと思う。
国で規制した方がいい。
今までなんの興味もなかった相手なのに急に言われてドキッとする。
恋をあんまりしたことがないせいか。
もともとコイツを意識してたっていうのはないと思うけど。
「ゆゆちゃん?」
「ん、なあに?」
顔に出しちゃまずいと思って私は平静を装った。
こんな私単純なやつだとはおもってなかった。
まあでも告られるの初めてだし?
あーこんなもんなんだーって。
ちょっと感動、でもこれどうしてくれよう。
浮かれてるな私、ははははー。
「えっと、ごめんなんだっけ?」
「だから好きなんだよ。付き合って」
「はうう……」
きゃー!もう、この胸の高鳴りどうしてくれよう。
ちょっと一旦冷静にさせて、お願いだから。
私こういうの慣れてないから、お願いだから!
「ふしゅう……」
――でも、今日みたいな日の事もいつかは思い出になるのだろうか。
ああ、思い出になるともさ。
去年のことだってもう思い出になったのだから。
それにしても、毎年毎年飽きもせずにドデカいネタを放り込んできやがって。
ホント、夏なんてなくなってしまえばいいのに。
――なんちゃって。
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