みんなで海に行った時の話。

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去年の海はとにかく最悪だった。 せっかく通販でビキニ揃えて海行ったのに、一人の男子から、 「ゆゆちゃんムチムチだねー」 なんて。 その時は、 「うるさい」 とか言うだけだった気がするけど、家に帰ってだんだんその言葉が何回も何回も頭の中をぐるぐるぐるぐる。 もう深夜の蚊みたいに何度もしつこく過るせいか眠れなかった。 別にスタイルとか私普通ぐらいに思ってて、今まで気にしなかったんだけど。 でも、急にそんなこと言われて、なんか段々悔しくなってきて、夜中泣いた。 なんかもう、どうしようもなくて泣いた。 だから、今年海にって誘われた時は本当に嫌だった。 ――嫌だったんだけど、でも周りの子がなんでなんでーって言ってくるし? あんまり私も断れる方じゃなかったから、 「じ、じゃあ……」 って渋々行くことになった。 私は一応、下に水着着てたけど、パラソルの下でみんなのこと見てることにした。 そのなかにあいつもいた。 海でビーチバレーやってる。 ――ああムカつく、超ムカつく! 青い海、白い砂浜。 最高のロケーションなのに、アイツのせいで全て水の泡。 まるでサイダーの炭酸のように。 眉間にしわ寄せ、 「夏なんてなくなればいいのに」 買ってきたサイダーをあけてがぶ飲みした。 「ゴホッゴホッ!」 むせた。サイダーはがぶ飲みする飲み物じゃない。 ここにきてたみんなは私の事情を知っていた。 だから何もいってこなかった。 なのに、どういう訳かそのアイツがやってきた。 なーんかもうしわけないですーって顔で近づいてきている。 「チッ」 舌打ちした。 面倒くさい。マジ最悪。 きっと私に謝りに来たんだ。 もう、ほっとけばいいのに……。 はああ……。 アイツの影が踏み寄った。 「なに?」 睨むように訊ねた。
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