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ついでに会場は人でごった返しているので、そもそもリムジンなんぞでは会場に近付くことすらできないと思うのですが。
「くー! キィーッ!!
みんな雅ちゃんが心配じゃないのっ!?
夜遊びなんて不良なマネをさせていいと思っているのかいっ!?」
乱心して暴れ出しそうな旦那様を霜月さんと丸谷さんが必死に抑え込む。
そんな光景を眺めながら、俺は内心でそろそろ雅お嬢様を迎えに上がらなくてはならない刻限であることを気にしていた。
「旦那様、私がお嬢様を迎えに参りますので、ご安心ください」
だから俺は、この茶番をさっさと終わらせるためにも、その言葉を口にした。
その瞬間、まるでその言葉を待っていたかのようにキランッと旦那様の瞳が輝く。
「そうだよね時任くんっ!! そうこなくっちゃねっ!!
大丈夫!! 準備はバッチリ整っているからっ!!」
今までの乱心っぷリは何だったのか、旦那様はコロッと立ち直っていそいそと隣室へ向かう。
そんな旦那様を茫然と見送っていると、ガシッと両腕を捕獲された。
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